住所のない街

 

11月の風は冷たい

帰路へ着く途中にある木が大きく揺れる

 重い屋根と厚い壁に囲まれた細い道を右へ

曇天空の下傘はないけれど遠回りをする

馬の印のある門を抜けたところを

むと見える庭には小さなベンチとテーブル

壁を蔦う植物がどこへ続くのかを知ることが

住み続けたいと思う理由

 

高本真和