vessel

 

 

 “コロナ禍”という新たな神話的時間で、 風邪を引いた世界(これからも発病していくであろう世界)で, 生き延びていくためのよすがとしての物語。 

 

この 4 年間の生活の中で起きた事象。その瞬間の内に秘められた物語。それは自分を取り巻く環境という名の器でもあり

 

自分という器の内側に入ってくるものでもあった。その内と外の《間》《汀》《彼岸と此岸》《浮世と常世》との、あわいの往還にある中空に、

“こころ” や “たましい” と呼ばれる ものが在るのではないかと思う。 

 

ファインダーという一つのトンネルをくぐり、内と外のあわいの中空という異界な場所へとアクセス し、“こころ” 的な存在と衝突した 。

この世界を知覚したとき、内と外の間にいる何かが反応し、皮膚という境を隔て自分という輪郭を構成しているのだと感じる。

この写真群は、これからの 世界を生きる上での器としての物語。

この写真群のことを見つめた先に何がそこに在るのか、在ったのかをま とめなければ、これから先も何かを患ったままな気がする。

いつの時代も世界は常に何かを患って いるのかもしれないが、

自分の中に拠り所とし、還ることのできるよすがを持つことで そんな疫病世界でも少しは歩みて行けるように思える。