証明写真は”Ki-Re-i”

スーパーやコンビニ付近に置いてある誰でも気軽に撮れる証明写真機は、早くて大量に写真を生産するスピード写真と呼ばれる。

デジタルカメラと昇華型プリンターを用いて、イスの高さを調節し自ら画角を決め、カーテンを閉めることで露光不足や過露光を防いでいる。

あの小さな箱の中で撮影技術を最大限に活用し、自分を証明する。

その証明されたものが最終的には大量にプリントされて出てくるのだ。

 

私はこれまでポイ捨てされたごみの写真を撮ったり、環境問題について関心を持ち、作品を制作してきた。食の大量生産と消費。世界では生産された40億tのうち、3分の1である13億tの食料が廃棄される。大量に生産されても、結局は廃棄されてしまうのだ。

 

私はこのシリーズで、工場の中で数秒で大量に生産される食品たちをモチーフに証明写真機を使って、ポートレートを撮ることを試みた。

大学4年生になり就職活動をする中で必要になる証明写真。4cm×3cmという小さな証明写真で私たちは一体何を証明されているのだろう。

 社会組織の中では人とは違う個性が求められる一方で、似たような商品や食品を消費し、SNSやメディアに氾濫する写真や広告に囲まれながら生きる私達人間は、果たしてこれらの大量生産されている食品と何が違うのだろうか。これらの食品の証明写真は大量生産される時代や文化の中で生きる私達のポートレートでもあるのだ。