なにでもない土地

 

 

小学校の1年生から3年生まで、小学校指定の学童保育に通っていた。自分にとって思い入れのある場所だったが、小学校を卒業すれば、訪れることも無くなっていった。

数年ほど前のある日、気がつけば学童保育は取り壊されていた。そこには土まで剥き出しになった土地があり、売り地と値段の書かれた看板だけが突き刺さっていた。

それからも、数年が経った。

いつの間にか看板はなくなっていた。今では一面、植物の豊かな茂みがある。工事が行われる様子もない。

 

 

現代とは、土地でさえ換金される時代だ。大地でさえ私有化され、持ち主に、価値を利益を与えるようにと、作り替えられる。利益を出さないものは見捨てられ、忘れられる。

空き地にはマンションが立ち、畑だった場所はコンビニエンスストアになり、川沿いの草原は駐車場になる。

一時的で即物的な利益のために、人々の要求に応えて、都市は建て替わる。

 

 

未だ見えない、持続してゆく都市とは、どのような場所なのだろうか。

そういった都市において、この緑地はどのような場所になり得るのか。どのように変化がもたらされるのか。

興味を持ち、撮影を行った。

 

小林 明世