一層を隔てて


 

水族館の水槽を覗くと魚がこちらへ向かって泳ぎ、水中にいる感覚になる。

奥には向かいにいる人の姿があり、魚と人が自由に過ごす姿が視界におさまる。

彼らの予測不能な動きに、私は常に想像力が掻き立てられた。

 

けれどその発見は自分の視界でしか見られず、人に伝えようとする間に彼らはまた違う動きをしてしまう。

 

和田式子