鳥海クラス
マスクでの生活が必須になり、目元だけで人を認識していた時代があった。
時間を経て、マスクを外した人が増えた。
そしたら、今までよりも見えている部分が増えたことで、逆に誰なのか分からなくなった。
今まで見ていた姿を見るために、いろいろな人の目を集めた。
人の目をじっと見たことがなかった。
撮られた自分の目は鏡で見たのと違う。
目を見て話す。人の目をみて話すことと目という形という情報認識は全く違う。
目と眉毛の情報だけで誰なのかを認識することができる。
私にとっての魅力は、本人にとってコンプレックスだった。
自分の見る自分と、他人から見た自分とは見えているものが全く違う。
目だけで表情は掴めないけど、感情は伝わる。不思議。
顔の一部を写すことになった時、多くの人が「目元なら」と応じた。
メイクをすれば、まるで別人のように変わる。
いろんな形がある。
いろんなシワがある。
いろんな色がある。
目の形そのものが表情なのかもしれない。
年齢など、さまざまな情報を読み取ることができる。
「写真撮らせて」ではなくて「目を撮らせて」とお願いすると、みんな目に力が入る。
表情のある目とそうでない目がある。
言葉では表現しきれない感情や物語が浮かび上がる。
優しい目、力強い目、明るい目、寂しい目。
口では言えないことを、教えてくれるかもしれない。
「目は口ほどにものを語る」という言葉がある。
言い過ぎだと思う。
コロナ禍ではその「目」の情報だけを受け取ってコミュニケーションを取っていたが、いざコロナ禍が終息し、みんなの顔をちゃんとみながら話すことができるようになると、印象も何も違って感じた。
目は、目なので、語ることはないし、所詮、目なんだと思う。
目からしか情報が受け取れなかった時期を過ごした僕たちが、今また目の重要性を探る。