―鳥人間コンテスト ―
それは、ただ空を飛ぶためだけの大会ではない。
琵琶湖の空に翼を広げ、大空に魅了された者たちの情熱が形になる瞬間だ。
日本大学理工学部 航空研究会 ( NASG ) もこの大会を目指すチームの一つ。
しかし、ただ優勝を目指すのではなく、空に羽ばたく夢を実現するため、
仲間と力を合わせ、知恵を出し合い、何度も試行錯誤を繰り返しながら、
翼ひとつひとつに磨きをかけていく。
この記録には、そんな彼らの挑戦の日々と、夢見る思いが刻まれている。
なぜこれほどまでに熱くなれるのか。 どんな夢が彼らをつき動かすのか。
その答えは、仲間と共に歩んだ一瞬一瞬の中にある。
彼らの青春の軌跡は、未来への新たな一歩をつなぐ架け橋となる。
2023年の夏、彼らは鳥人間コンテストの舞台に立った。
無念の最下位という結果に終わったが、その失敗は彼らの絆を深め、
次の挑戦へと向かう原動力となった。
リベンジを誓い、2024年の大会に向けて再び立ち上がったNASG。
しかし、制作途中で予想外の事態が発生し、機体は大破。
その結果、大会への出場を断念せざるを得なくなった。
彼らの心には、悔しさと共に「来年こそ」という強い決意が刻まれた。
新たに加わった1年生は、前回の経験を胸に、学びながら成長していく。
2年生は来年に向けて後輩を引っ張りながらチームを支える重要な役割を担う。
そして3年生は、飛べなくなった悔しさを胸に、次の世代に想いを繋いでいく。
飛べなかった機体、果たせなかった夢。
しかし、その想いは確かに次の世代に引き継がれ、これからも挑戦は続いていく。
「 想いをのせて、栄光を 」
これは、飛ぶはずだった機体の設計図に書かれていたスローガン。
歴代の先輩たちから受け継がれてきた想い、前の大会で経験した悔しい想い、
そしてこれからバトンを受け継ぐ後輩たちの想い。
彼らは、この全ての想いを機体にのせて飛ばすつもりだった。
飛べなかった機体、届かなかった夢。
それらは無駄ではなく、次へ繋がる大切な一歩となる。
そして、挫折を乗り越え、再び挑戦を始める糧となる。
この先、彼らの想いをのせて、栄光を掴む日がきっと訪れるから。
その想いは後輩たちに引き継がれ、これからも挑戦は続いていく。
再びあの舞台で羽ばたくために。
あすも飛ぶために。
梶 山 裕 生