夜の街は美しい。音も視界も静かだ。
たくさんの情報であふれていた世界は姿を消し、
目の前には無駄のないシンプルな光景が広がっている。
昼の喧騒から逃れるように飛び込んだ夜の世界。
必要なものだけが見える。
必要な音だけが聞こえる。
そんな夜の世界が好きだ。
近年昼行性動物達が夜行性にシフトし始めているらしい。
理由はヒトを避けるためだとか。
野生動物の脅威にもなりうるヒトに会わないで済むように
時間的に住み分けをし始めている。
私の感覚はその野生動物に近い。
人の発する喧騒や嫌でも目に入る街の表層から逃れ、
夜という世界で生きているから。
夜の被写体たちは昼と違った顔を持ち、
その存在感を発揮している。
私は夜の街を歩きながら彼らと呼応する。